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愛妻家大田正文、就職活動でナムコの選考を受けた、女性社員と冷やし中華の思い出。

■愛妻家大田正文。
就職活動で、ナムコの選考を受けた、女性社員と冷やし中華の思い出。

■昭和50年代にゲームが好きだった人にとって、ナムコは、オンリーワンの価値を持っていた会社だった。もちろん、僕も、例外ではなかった。

・ファミコンで、はじめてゼビウスをやった時の衝撃。バキュラはザッパーを256発撃ちこめば破壊できると信じて挑戦していた、小3のあの頃。

・モンスターがホッピングやバスといった、多彩な乗り物に乗ってやってくる驚き。たくさん詰まっていた隠しキャラや隠し要素、そして、ポップな色彩の画面に、心から胸をときめかせた、パックランドにハマった小4の冬。

・15階のクォックスドラゴンのテーマ音楽に戦慄し、59階の分身ウィザードがどうしても倒せず、クリアできなかった小5の冬。以来、眠っていると、ギルと一緒にドルアーガを倒しに向かう夢をずっと見るようになり、数年越しの思いをのせて、再度ドルアーガの塔を買って、ドルアーガを倒し、カイを救った高1の春。


あの時の僕は確かに、0と1の羅列のデータにすぎないキャラクター一人ひとりに、躍動感のある生命が宿っていると、本気で感じていた。

■今から振り返れば、ほとんどのファミコンソフトをプレイしている僕が、自分で買ったゲームが一番多い会社が、ナムコのゲームだった。
当然、カセットと一緒に入っているアンケートハガキもぜんぶ送っていた。すると、毎年新年にナムコから年賀状が届くようになった。そして、それは、僕にとって、お正月のたのしみのひとつになった。

■……時は経って。
僕は、大学生になり、就職活動をするようになった。
僕は迷わず、ナムコの選考を受けることにした。

■エントリーシートに書く内容の一つに、

「あなたが、ナムコに入社したら、どんなことをやりたいですか?」

という質問があった。

■僕は、この質問に書いた内容を、今でもよく覚えている。

当時、ナムコのゲームセンターは、規模によって、幾つかの店名が使い分けられていた。
プレイシティキャロット、ナムコランド、プラボ、PRID’S……。

これが、僕にはすごく残念だった。
なぜなら、店舗名がバラバラすぎて、お店に来るお客さんが、そこをナムコ直営のお店だと思ってくれないからだ。

だから、僕はエントリーシートにこう書いた。

「私が御社に入社したら、アミューズメントパークのブランド統一化を図ります。御社のアミューズメントパークには、プレイシティキャロット、ナムコランド、プラボ、PRID’S等、規模によって店名が違います。沢山の店名でブランドが分散しているために、残念ながら、訪れたお客様が、御社のアミューズメントパークだと気づいていません。御社には、パックマン、マッピーといった、魅力的かつ知名度のあるキャラクターが沢山います。全社でいちキャラクターをマスコットキャラクターとして全店舗で使用し、ブランドの統一化を図ります。」

余談だが、これは、正直、いまでもやりたいと思っている。ナンジャタウンも含めて。

■一次面接は、5月下旬。
大田区のナムコ本社で13時からの開催だった。

面接前日は、興奮して、あまり眠れなかった。
そして、いてもたってもいられない僕は始発の新幹線で東京に向かった。

新幹線で東京に向かう途中、僕はものすごく興奮していた。
なぜなら、ナムコ本社の受付には、受付ロボットの「受付小町」がいたからだ。
雑誌でしか見たことがない受付小町に会えるだけで、僕の心は小躍りしていた。

東京についたらすぐに、大田区のナムコ本社に向かった。
実際に受付小町と対面し、ものすごく感動したのを覚えている。

■そして、僕は、はたと気がついた。
時間が、まだ11時過ぎだということに。

13時からの面接まで、まだまだ時間がある。
しかも、よくよくまわりを見回すと、社員も学生も、まだ誰もいなかった。

誰かいないかな?と、近くの会議室を見回すと、20代の女性社員が、面接会場の設営をしていたのを発見して、話しかけてみた。

愛妻家「すみません、今日13時からの面接に、広島からやってきたんですが、新幹線が早くつきすぎてしまって」

女性社員「広島から!遠いところから。……でも、ごめんね。まだ会場設営中なの。だから、お昼ごはんでも食べてきたら?」

愛妻家「ありがとうございます。そうします。このあたりで、おいしいお店ありますか?」

女性社員「うーん、おいしいお店はないけど、表に出て真っすぐ行って右に曲がると、腐ったような定食屋があるから」

愛妻家「腐ったような?!どんな定食屋さんなんですか?それ!」

女性社員「行ってみたらわかるよ(笑)」

愛妻家「ありがとうございます!面白そうなのでそこに行ってみます!」


■はたして、女性社員に教えてもらった道のとおりに行くと、まさしく腐ったような定食屋を発見し、中に入った。
おばちゃんが、注文を取りに来る。

おばちゃん「ご注文は?」

腹が減っては戦(面接)はできぬ。そう考えた僕は、ゲンを担いで、迷わず答えた。

愛妻家「カツ丼で!」

そう、僕は今から面接にカツんだ!

■おばちゃんが奥に引っ込んだ後、僕は店内を見回した。
古い定食屋さんだ。腐ったような、とは言い得て妙だ。

僕は何気なく、店内の壁にはられたメニューに目をやった。

そこには、こう書かれていた。

20110905-1.jpg

「冷やし中華はじめました」

ああ、もう夏になるからな……。
そう考えていた僕は、その後に書いてある言葉に、自分の目を疑ったのだ。

20110905-2.jpg

そこには、赤い文字で、こう書いてあったんだ。

20110905-3.jpg

あったか~い


20110905-4.jpg


■……(これはもう、あの女性社員に教えてあげるしかない!)

僕は居ても立ってもいられなくなり、出てきたカツ丼を5分で平らげて、ナムコ本社へダッシュで戻った。
女性社員は、設営が終わって、会議室でのんびりしていた。

女性社員「あ、どうだった?やっぱり腐ってた(笑)」

愛妻家「正直、味はあんまり美味しくありませんでした(笑)。それより聞いて下さい!すごいメニューがあったんですよ!」

女性社員「メニュー?へー、なになに!」

愛妻家「壁のメニューに『冷やし中華はじめました』って書いてあったんですけど」

女性社員「ふんふん」

愛妻家「その後に、なんて書いてあったと思います?」

女性社員「えー、なにかなあ?」

愛妻家「赤いマジックで『あったか~い』って書いてあったんですよ!なんなんですか!あったかい冷やし中華って、もはや冷やしじゃないじゃないですか!」

女性社員「えー!!本当!!それは気づかなかった!今度食べに行こう!」

愛妻家「僕もカツ丼なんか頼んでいる場合じゃなかったですよ!先にメニューを見ていたら、絶対に頼んだのに!あったかい冷やし中華!人生の半分くらい損した気分ですよ!今!」

女性社員「あははは。君、面白いね!」


■あったかい冷やし中華のおかげで、この日、女性社員と仲良くなった僕は、面接時間中、ずっと、この女性社員と和気あいあいと話をしていた。彼女も、面接官の一人だったのだ。

……正直、面接で何を話したかは、さっぱり覚えていない。
だけど、とても楽しい時間だったことだけを、今でもはっきり覚えている。

■そして、翌日。
ナムコから、電話がかかってきた。

面接の結果は、合格だった。

■それ以降、その女性社員と会うことは無かった。
でも、僕は、あのときの女性社員に、もしまた会える時が来るならば、聞いてみたいのだ。

あの。

あったかい、冷やし中華の味を。

おわり
 
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⇒comment

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No title

ほのぼのする話ですね! 素敵です。

Re: No title

ごーだいさん、ありがとうございます!

愛妻家の就職活動、こんな人情話結構多いです。
就職活動というよりも、人生の先輩と会うのを楽しんでいました。
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プロフィール

愛妻家 大田正文

Author:愛妻家 大田正文
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『年302回の勉強会・交流会の達人』です。
1975年生まれ。広島県出身。
2008年の勉強会実績は、主宰、参加合わせて年302回。
“超・愛妻家”というユニークな肩書を武器に、現在も数多くの勉強会に参加している。
自らも、「日本経済新聞を読む朝食会。」「経営者とランチ交流会」「日経ビジネスアソシエを読む会。」「就活学生・社会人キャリア交流会」など、6つの勉強会・交流会を主宰する。
主宰勉強会・交流会ののべ参加人数は、3年間で3,000人を超える。

■さらに詳しいプロフィールは、日経ビジネスアソシエオンライン記事(←こちらをクリック)をご覧下さい。

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